よくある法律相談(ホームページ編)
弁護士 山本 隆司
1.HP作成上の注意点
- 専門家に頼んでHP(ホームページ)を作ってもらいました。注意することは何ですか。
- 自分のHPに他人のHPとのリンクを張りたいと思います。何か注意することはありますか。
- 私は、友達との交流のために自分のHPを作りました。ネットでかわいいネコの写真をみつけたので、自分のHPに、挿し絵として使いたいと思います。何か注意することはありますか。
- 私は小さな会社を経営しています。PRのためにHPを作りました。取り扱っている商品について、メーカーのロゴや、メーカーのパンフレット中の説明文・注意書きを、HPに使いたいと思います。何か注意することはありますか。
- 他人のコンテンツを使うこともフェア・ユースとして許されると聞いたことがありますが、フェア・ユースとは何ですか。フェア・ユースとしてどこまで許されますか。
2. HP利用上の注意点
- ネット上のコンテンツは、自由に使えると聞いたことがあるのですが、本当ですか。何か権利があるのですか。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを、プリントアウトしたいと思います。何か注意することはありますか。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを、友達にメールで送りたいと思います。何か注意することはありますか。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを集めて、自分のHPに載せたいと思います。何か注意することはありますか。
- ブログに投稿してくれた人のコメントを、本に転載したいと思います。何か注意することはありますか。
- ネットで入手できるコンテンツで、勝手に使っていいものはありますか。
- 他人のコンテンツを使うこともフェア・ユースとして許されると聞いたことがありますが、フェア・ユースとは何ですか。フェア・ユースとしてどこまで許されますか。
- 他人のコンテンツの無断使用はどのような権利の侵害になりますか。
- 私のHPのコンテンツが他人に無断で使われています。やめさせることができますか。どのような権利の侵害になりますか。
- 私のHPは、専門家に作ってもらったものですが、私のHPのコンテンツの無断使用に対して、やめさせることができますか。
- 私のHPのコンテンツの無断使用に対して、やめさせることができますか。やめない場合にどのような手段を執ることができますか。
1.HP作成上の注意点
- 専門家に頼んでHP(ホームページ)を作ってもらいました。注意することは何ですか。
→よく間違われることですが、お金を払って作ってもらった物の権利は、お金を払った人の物になると思われています。このことは、半分は正しいのですが、残り半分は間違っています[→所有権と著作権]。というのは、所有権は当然にお金を払った人に移るのですが、著作権など知的財産権[→知的財産権]といわれるものは作った人にとどまるからです。したがって、依頼のときに、著作権など知的財産権も譲渡してもらうよう、約束(特約)しておく必要があります[→著作権譲渡特約]。
- 自分のHPに他人のHPとのリンクを張りたいと思います。何か注意することはありますか。
→2つ問題があります。
一つは、リンク先のサイトの許諾をとる必要があるかという問題です。リンクを張るには事前の許諾や通知を要求するサイトもあります。しかし、法律的には、たとえそのような要求を表示しているサイトであろうとなかろうと、リンクを張るのは張る側の自由です。したがって、法律的には事前の許諾や通知を要求するサイトであっても、リンクを張るには事前の許諾や通知は必要ありませんが、そのようなサイト運営者の気持ちとしてはどこにリンクが張られているのか知っておきたいということだと思われますので、マナーの問題として、リンク先のサイトにリンクを張りますとの事前の通知を1本入れておくのがよいと思います。
もう一つの問題は、リンク先のコンテンツが著作権侵害や名誉毀損を生じさせる違法な物であった場合に、リンクを張った側にどのような法律上の責任が生ずるかという問題です。リンク先のコンテンツが著作権侵害や名誉毀損を生じさせる違法な物であることを知っていた場合や、第三者から違法物であることを通知されながら事実確認をもせずに放置している場合には、リンクを張った側も損害賠償や差止命令を受けることや、場合によっては刑罰を受けることもあります[→間接侵害責任]。 - 私は、友達との交流のために自分のHPを作りました。ネットでかわいいネコの写真をみつけたので、自分のHPに、挿し絵として使いたいと思います。何か注意することはありますか。
→写真は著作物です。著作権法上の保護を受けますので、権利者に無断で自分のHPに使うと「複製」[→複製]として著作権侵害を生じます(著作権法21条)。複製による利用には「私的複製」としてかなり広い例外(著作権法30条)が認められています[→権利制限規定]。これによりインターネットで見つけた写真をプリントアウトしても、私的複製として、著作権侵害にはなりません。ところが、写真をHPに使う場合には、「複製」による利用だけでなく、HPがインターネットを通じて見ず知らずの大勢の人(公衆)からアクセス可能なので、「公衆送信」による利用(著作権法23条1項)にも該当します。「公衆送信」[→公衆送信]による利用には私的複製のような権利制限がありませんので、直ちに著作権侵害となります。
- 私は小さな会社を経営しています。PRのためにHPを作りました。取り扱っている商品について、メーカーのロゴや、メーカーのパンフレット中の説明文・注意書きを、HPに使いたいと思います。何か注意することはありますか。
→ロゴは、商標登録されていれば商標権によって、登録されていなくても不正競争防止法によって、保護を受けています。また、パンフレットは、著作権によって保護を受けています。 商標登録されているロゴは、商標権者が、そのロゴを商標登録した一定の商品やサービスについて使用する独占的権利を持っています。したがって、そのメーカーの商品やパンフレットに付いているロゴをその商品やパンフレットごと載せることはできますが、ロゴだけを取り出してあなたの商品や、そのメーカーの商品であってもあなた自身が書いた説明書きに付けることはできません(商標法2条3項)。
パンフレット内の説明書きやグラフや写真には著作権が発生することがあります。しかし、説明書きであっても、機能や事実の単純な記載であってだれが書いても同じような記述になる場合には、創作性のない表現として、著作権の保護を受けません。また、グラフや写真であっても、グラフに表されたデータ自体は、著作権で保護されません。また、撮影された商品に機能上の特徴があってもグラフや写真としての表現上の特徴がない場合には、創作性のない表現として、著作権の保護を受けません[→著作物]。なお、文章の言い回しを少し変えたりしても、必ずしも著作権侵害を回避できません。
いずれにしても、メーカーのロゴや、メーカーのパンフレット内の説明文・注意書きを使う場合に限らず、著作物など他人の知的財産を部分的にでも使う必要がある場合、その限界はかなり微妙な問題になりますので、専門の弁護士にご相談されるようおすすめします。 - 他人のコンテンツを使うこともフェア・ユースとして許されると聞いたことがありますが、フェア・ユースとは何ですか。フェア・ユースとしてどこまで許されますか。
→フェア・ユースとは、米国著作権法上の法原則です。利用の目的や著作物への影響など4つの要素を考慮してその利用方法が「フェア」と裁判所が認定すれば、著作権侵害とはならないとする法原則です。これまで、日本でも、裁判所にフェア・ユースの適用を求めた事件がいくつもありますが、日本法上の制度ではないとの理由で、裁判所はことごとくその適用を否定しています。最近になって、日本にもフェア・ユースを著作権法に導入しようとする動きが起こっています。 しかし、注意しなければいけないのは、実際に米国でフェア・ユースとして適法とされる利用方法はかなり狭いものです。しかし、フェア・ユースの導入を主張する人たちは、それによって適法になると考えている利用方法がかなり広いと誤解しており、フェア・ユースに対して過大な期待を抱いているようです。 現在、著作権を管轄する文化庁の諮問機関である文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会において、フェア・ユースを著作権法に導入すべきか、導入する場合にどのような形で導入すべきか、が検討されています。2010年4月の中間報告(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_05/pdf/sanko.pdf)によれば、フェア・ユースのうちのトランスフォーマティブ・ユースといわれる利用方法、すなわち著作物がもっている利用価値・鑑賞価値を利用する目的ではない利用方法、に限って適法としようという方向のようです[→フェア・ユース]。
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2. HP利用上の注意点
- ネット上のコンテンツは、自由に使えると聞いたことがあるのですが、本当ですか。何か権利があるのですか。
→ネット上のコンテンツには、多くの場合、著作物[→著作物]として著作権[→著作権]が生じています。たとえば、ネット上の文章、写真、動画、イラスト、デザイン、ソフトウェア、データベースは、通常、著作物に該当することが考えられます。このような著作物には、作った人(「著作者」)に著作権が与えられています。
したがって、(1)そもそも著作物でない物の使用[→パブリック・ドメイン]、(2)著作物であっても著作権の切れている物の使用[→著作物の保護期間]、(3)著作権の切れていない著作物の使用であっても、著作権で規制されていない使用方法[→著作権]、(4)著作権で規制されている使用方法であっても、権利制限が認められている使用方法[→権利制限規定]、または(5)著作権者が承諾した使用[→利用許諾]であれば、著作権侵害になりません。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを、プリントアウトしたいと思います。何か注意することはありますか。
→著作権のあるコンテンツであっても、個人的に使用する目的でプリントアウトする場合には、私的複製として、著作権の適用が除外されています(著作権法30条)。しかし、それを他人に販売すれば、著作権侵害となる(著作権法49条1項1号)ので、注意が必要です。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを、友達にメールで送りたいと思います。何か注意することはありますか。
→著作権のあるコンテンツを、大勢の人や見知らぬ人(「不特定または多数の人」)に送ると、著作権のうちの公衆送信権の侵害になります(著作権法23条1項)。したがって、友人や家族数人にこのようなコンテンツをメールで送る程度であれば、著作権侵害にはなりません。しかし、このようなコンテンツをその範囲を超えてメールで送れば、著作権侵害となるので、注意が必要です。
- ネットで見つけたおもしろいコンテンツを集めて、自分のHPに載せたいとも思います。何か注意することはありますか。
→著作権のあるコンテンツをHPに載せると、大勢の人や見知らぬ人(「不特定または多数の人」)がアクセスできます。他人の著作物を不特定または多数の人がアクセスできるHPに載せることは、著作権のうちの送信可能化権(公衆送信権)の侵害になります(著作権法23条1項)。
したがって、コンテンツの著作権者を探してあらかじめ掲載することについて許諾を受ける必要があります。
- ブログに投稿してくれた人のコメントを、本に転載したいと思います。何か注意することはありますか。
→ブログのコメントは、それを書き込んだ人に著作権が帰属します。それを勝手に本に転載することは著作権(複製権)の侵害となります(著作権法23条1項)。コメントを投稿した人から転載することについて許諾を受ける必要があります。
- ネットで入手できるコンテンツで、勝手に使っていいものはありますか。
→(1)そもそも著作物でない物の使用[→パブリック・ドメイン]、(2)著作物であっても著作権の切れている物の使用[→著作物の保護期間]は、自由に使うことができます。
なお、権利者が一定の限度で利用許諾を公表している場合もあります。例えば、文化庁が推進する自由利用マークの表示のあるもの(http://www.bunka.go.jp/jiyuriyo/index.html)や、クリエイティブ・コモンズ(国際的非営利組織)の推進するCCライセンスの表示などのあるもの(http://creativecommons.jp/)です。これらのコンテンツは、その表示にしたがって利用することができます。 - 他人のコンテンツを使うこともフェア・ユースとして許されると聞いたことがありますが、フェア・ユースとは何ですか。フェア・ユースとしてどこまで許されますか。
→フェア・ユースとは、米国著作権法上の法原則です。利用の目的や著作物への影響など4つの要素を考慮してその利用方法が「フェア」と裁判所が認定すれば、著作権侵害とはならないとする法原則です。これまで、日本でも、裁判所にフェア・ユースの適用を求めた事件がいくつもありますが、日本法上の制度ではないとの理由で、裁判所はことごとくその適用を否定しています。最近になって、日本にもフェア・ユースを著作権法に導入しようとする動きが起こっています。
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しかし、注意しなければいけないのは、実際に米国でフェア・ユースとして適法とされる利用方法はかなり狭いものです。しかし、フェア・ユースの導入を主張する人たちは、それによって適法になると考えている利用方法がかなり広いと誤解しており、フェア・ユースに対して過大な期待を抱いているようです。
現在、著作権を管轄する文化庁の諮問機関である文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会において、フェア・ユースを著作権法に導入すべきか、導入する場合にどのような形で導入すべきか、が検討されています。2010年4月の中間報告(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h22_shiho_05/pdf/sanko.pdf)によれば、フェア・ユースのうちのトランスフォーマティブ・ユースといわれる利用方法、すなわち著作物がもっている利用価値・鑑賞価値を利用する目的ではない利用方法、に限って適法としようという方向のようです[→フェア・ユース]。
3. HPが無断利用されたときの対処法
- 他人のコンテンツの無断使用はどのような権利の侵害になりますか。
→他人のコンテンツを無断でHPに掲載した場合、著作権(複製権、公衆送信権など)の侵害となることがあります。場合によって、著作者人格権、著作隣接権、実演家人格権、商標権の侵害になることもあります。
- 私のHPのコンテンツが他人に無断で使われています。やめさせることができますか。どのような権利の侵害になりますか。
→著作権、著作者人格権、著作隣接権、実演家人格権または商標権の侵害になる場合、権利者には、損害賠償請求権のほかに、差止請求権が認められています。したがって、この差止請求権(著作権法112条1項、商標法36条1項)に基づいて、無断使用を止めさせることが可能です。
- 私のHPは、専門家に作ってもらったものですが、私のHPのコンテンツの無断使用に対して、やめさせることができますか。
→ここでの問題は、著作権等の権利の保有者が誰かということです。よく間違われることですが、お金を払って作ってもらった場合、(できあがった物の所有権は当然にお金を払った人に移るのですが)著作権などは実際に作った人のものとなります。つまり、あなたのHPのコンテンツの無断使用をやめさせることができるのは、現実に作った専門家であって、あなたではありません。
したがって、HP作成を依頼するときに、著作権等を譲渡してもらう約束(特約)を書面でしてもらうようにしましょう。
- 私のHPのコンテンツの無断使用に対して、やめさせることができますか。やめない場合にどのような手段を執ることができますか。
→あなたが持っている著作権の侵害として、差止請求権を無断使用者に対して行使できます。まずは、内容証明郵便などで、無断使用者に無断使用を止めるよう警告します。それでも止めなければ、裁判を起こすことになりますが、裁判所に著作権侵害差止の仮処分を申し立てる、という方法も取れます。仮処分は、裁判所に担保金を積む必要がありますが、比較的短時間に無断使用を止めさせることができます。
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