用語集
間接侵害責任/権利制限規定/公衆送信/所有権と著作権/知的財産権/著作権/著作権譲渡特約/著作物/著作物の保護期間/パブリック・ドメイン/フェア・ユース/複製/利用許諾
- 間接侵害責任
著作権の侵害に当たる行為(無断で著作物を複製したり、ネットで配信したりする行為)を直接侵害といい、その行為者を直接侵害者といいます。これに対し、自らは直接侵害を行わないけれども、直接侵害者を扇動や援助して直接侵害を行わせる人を、間接侵害者といい、その行為を間接侵害といいます。間接侵害者がその間接侵害について負うべき責任を間接侵害責任といいます。
著作権の間接侵害に対しては、現在の判例は、不法行為に基づく損害賠償責任は認めていますが、差止命令は認めていません。カラオケ法理と呼ばれる判例法理によって、実質的には著作権の間接侵害に当たる一定の事案に対しては、直接侵害性を認めて、差止命令も認めていますが、理論的に問題・矛盾が指摘されています。直接侵害者に当たる者に違法性がない場合でも、間接侵害者に違法性を認めることになるからです。
他方、欧米では一般的に、間接侵害に対しても、直接侵害と同じ責任を認めています。すなわち、損害賠償責任も差止命令も認めています。たとえば、米国では、間接侵害として、寄与侵害と代位侵害の概念を持っています。寄与侵害は、(1)直接侵害の存在、(2)直接侵害に対する認識、(3)直接侵害に対する寄与行為を要件として、寄与侵害者に直接侵害と同じ責任を認めています。また、代位侵害は、(1)直接侵害の存在、(2)直接侵害に対する監督の権限と能力、(3)直接侵害に対する利益を要件として、代位侵害者に直接侵害と同じ責任を認めています。
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権利制限規定著作権法は、著作者の権利を保護する一方、さまざまな観点(権利者の利益を不当に害しない場合や、公益上の理由から権利の調整を要する場合など)から、一定の利用行為について、第三者が著作物を、著作権者の許諾を得なくても、利用できるよう、著作権を制限しています。著作権法は、たとえば、私的複製(30条)、引用(32条)、教育目的での使用(35条等)、報道のための利用(41条)などの特定の場合に、著作権者の了解を得ることなく著作物を使うことができることを定めています。これら著作権を制限する著作権法上の一連の規定を、権利制限規定といいます。
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公衆送信公衆に直接受信されるために、無線や有線を通じて送信をすることをいいます(2条1項7号の2)。放送やインターネット配信が典型例です。
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所有権と著作権たとえば、画家にお金を払って絵を描いてもらったような場合、できた絵には所有権と著作権などが発生します。引渡を受けた絵に対する所有権は、お金を払って描いてもらった人に渡りますが、絵の著作権は画家のもののままです。
絵の所有権というのは、絵が描かれたキャンバスなど有形物に対する権利ですが、絵の著作権というのは、その絵をポスターやCDなどに複製したりネットで配信したりするような、絵という無形物の利用に対する権利です。したがって、お金を払って描いてもらった人は、絵に対する所有権に基づき、自由に絵を飾ったり譲り渡したりすることができますが、その絵を複製したり配信したりは、著作権に抵触しますので、できません。
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知的財産権知的財産権とは、発明、デザイン、著作物、営業標識などの無体物を他人に無断で利用されない権利をいいます。特許権、実用新案権、意匠権、著作権商標権などがこれに該当します。
なお、知的財産基本法2条2項は、「知的財産権」を次のように定義しています。「『知的財産権』とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう」。また、同条1項は、「知的財産」を次のように定義しています。「『知的財産』とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。」
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著作権著作権という言葉は、最も広い意味では、著作権法に定められている「著作権」、「著作者人格権」、「著作隣接権」および「実演家人格権」の総称として使われます。このうち、「著作権」と「著作者人格権」は、著作物に発生する権利です。「著作隣接権」は、著作物には該当しない実演、レコード製作、放送および有線放送に発生する権利であり、「実演家人格権」は実演に発生する権利です。もう少し狭い意味では、著作権は、「著作権」と「著作者人格権」の総称として使われることがあります。
しかし、著作権法において「著作権」と定義されているものは、著作物を排他的に利用する権利(財産的権利)であり、複製権(21条)、上演権(22条)、公衆送信権(23条)、展示権(25条)、頒布権(26条)、翻案権(27条)などを支分権とする「権利の束」です(17条1項)。著作権者は、著作権により、第三者が無断で著作物の複製、上演、公衆送信、譲渡、翻案などの利用を行った場合、その利用を禁止することができます。
他方、著作者人格権は、著作物に対する著作者の人格的利益を保護する権利であり、公表権(18条)、氏名表示権(19条)、同一性保持権(20条)を支分権とする「権利の束」です(17条1項)。第三者が、無断で著作物を公表した場合には、公表権の侵害になり、氏名を表示しなかった場合には、氏名表示権の侵害になり、著作物に無断で変更を加えた場合には、同一性保持権の侵害になります。
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著作権譲渡特約ホームページを他人に作成してもらった場合、著作権など知的財産権は、作った人にとどまります。したがって、ホームページの作成を委託する契約に著作権譲渡の定めがなければ、依頼者がお金を払ったとしても、著作権はホームページを作った人にとどまります。そこで、ホームページの作成を委託する契約において、ホームページの作成を依頼した者に著作権を譲渡すると定めることがあります。これが著作権譲渡特約です。ホームページはアップデートすることがありますので、著作権譲渡特約においては、翻案権(著作権法27条の既存の著作物を利用して新たな著作物を創作する権利)等の譲渡なども特記しておく必要があります。
著作権譲渡特約は、証拠として残しておくために、書面で行っておくべきです。しかし、契約書の形でなくとも、お金を支払う際に、領収書を発行してもらい、その領収書に、摘要として「ホームページ制作代金として(著作権(翻案権および翻案利用権を含む)の譲渡対価を含む。)」と記載するだけでも十分です。
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著作物著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(2条1項1号)と定義されています。具体例として、小説、論文、講演、音楽、舞踊、絵画、彫刻、建築、地図、映画、写真、コンピュータ・プログラム、編集物、データベースなどが挙げられます(10条1項)。
したがって、著作物であるためには、(1)表現であること、(2)創作性があること、(3)文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの、であることが必要です。(1)表現であることが要件ですので、考えついたアイデアや発見した事実は、著作物にはなりません。考えついたアイデアや発見した事実を文章や絵画や彫刻に表現すれば、著作物になります。(2)創作性があることが要件ですが、作成者の個性が表現に現れていれば、創作性が認められます。ただし、表現される内容に対して不可避な表現やありふれた表現については、創作性が認められません。(3)文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものあることが要件ですが、文芸、美術または音楽の範囲には入らないものは学術の範囲に入ると考えられています。
しかし、以上の要件を備えていて著作物と認められた場合であっても、その著作物に含まれるすべての要素が、著作権によって保護されるわけではありません。著作権によって保護されるのは、創作性の認められる表現部分だけです。したがって、著作物に含まれる要素のうち、(1)表現されたアイデアや事実自体、(2)創作性のない表現部分は、著作権によって保護されません。また、(3)著作物であっても、著作権の保護期間が満了したものは、著作権によって保護されません。なお、これら(1)~(3)は、パブリック・ドメインに属します。
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著作物の保護期間著作権は一定の期間にかぎり存続します。著作物が保護される一定の期間を保護期間といいます。原則的に、創作時から著作者の死後50年まで著作権が存続します(51条)。ただし、団体名義の著作物については公表後50年(公表されなかった場合は創作後50年)まで(53条)、映画の著作物については公表後70年(公表されなかった場合は創作後70年)まで(54条)など例外もあります。
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パブリック・ドメインパブリック・ドメインとは、ある物に対して誰の権利も及ばず、誰でも自由に使える状態をいいます。
著作権の文脈においては、(1)そもそも著作物でない物の使用、(2)著作物であっても著作権の切れている著作物、(3)著作権の切れていない著作物であっても、その中のアイデアや事実など表現に当たらない要素、(4)著作物注の表現の要素であっても、著作物の内容に対して不可避の表現やありふれた表現であるために、創作性が認められない表現部分は、著作権が及びませんので、パブリック・ドメインにあります。ただし、著作物に記されたアイデアが発明である場合、別途、特許出願が可能であり特許権が取られていれば、そのアイデアの利用には特許権が及びますので、その限りではパブリック・ドメインにあるとは言えません。
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フェア・ユース我が国の著作権法は、著作権を制限する個々の利用形態ごとに、個別的に権利制限規定を定めています。これに対して、米国法は、個別的に権利制限規定に定めるとともに、およそ「公正(フェア)」と考えられる著作物の利用行為一般に対して、包括的に著作権を制限する権利制限規定を置いています(107条)。この権利制限規定をフェア・ユース規定、この規定の法思想をフェア・ユースの法理、この権利制限規定によって権利制限を受ける著作物の利用方法をフェア・ユースといいます。
米国の著作権法107条は、次のように規定しています。
「第107条 排他的権利の制限:フェア・ユース
第106条および第106A条の規定にかかわらず、批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェア・ユース(コピーまたはレコードへの複製その他第106条に定める手段による使用を含む)は、著作権の侵害とならない。著作物の使用がフェア・ユースとなるか否かを判断する場合に考慮すべき要素は、以下のものを含む。
(1) 使用の目的および性格(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。
(2)著作権のある著作物の性質。
(3)著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性。
(4)著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。
上記のすべての要素を考慮してフェア・ユースが認定された場合、著作物が未発行であるという事実自体は、かかる認定を妨げない。」
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複製著作物を有形的に再製することをいいます(2条1項15号)。手書き、複写、録画など方法は問いません。コピーが典型例です。
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利用許諾著作権者は、みずから著作物を利用するだけでなく、他人に著作物を利用させることができます(63条)。利用許諾とは、著作権者が、他人に著作物の利用を認めることをいいます。利用許諾をする著作権者をライセンサー、著作権者から著作物の利用を認めてもらい利用する者をライセンシーといいます。ある人に利用許諾しても、別の人にも利用許諾することができます。ところが、利用許諾において、そのライセンシーにしか利用許諾しないとの特約を付けることもできます。このような特約のない利用許諾を非独占的利用許諾(非独占的ライセンス)、このような特約のある利用許諾を独占的利用許諾(独占的ライセンス)といいます。独占的利用許諾を行う場合、利用許諾(ライセンス)契約書を交わすのが一般的です。
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