米国での著作権登録(US Copyright Registration)の方法および効果について、数多くの問い合わせが寄せられています。 当事務所では、米国での著作権登録の効果について情報を提供するとともに、その登録を希望される方にこれに対するサポート・サービスを提供いたします。
注意:発明の内容を記載した論文や図表を著作権登録しても、その発明が著作権で保護されることはありません。発明を保護されたい場合は、特許出願を行って下さい。
米国も、1989年以来、ベルヌ条約に加盟しており、著作権登録(copyright registration)や著作権表示(copyright notice)は著作権の要件とはされていません。したがって、著作物を作成したということだけで、米国でも著作権を取得できます。 著作権登録をしなくても、著作権を失うこともありません。
しかし、米国では、簡便な手続による著作権登録制度が定められています。その効果は、第1に、発行後5年以内に著作権登録をしているかぎり、 著作権が侵害された場合に、著作権の有効性および著作権の保有について法律上の推定を受けることができる(著作権法410条(c))という効力です。したがって、日本での裁判のように、原告が権利の立証で煩わされるというようなことは、米国では著作権登録さえしておけば原則としてありません。
第2に、原則として発行後3ヶ月以内に著作権登録をしておれば、著作権登録後に生じた著作権侵害については、著作権者に法定賠償請求権と弁護士費用賠償請求権が与えられる (著作権法 412条)という効力です。法定賠償請求権は、現実損害の賠償に代えて、現実損害額の証明なしで、取得できる損害賠償額を求めること のできる権利です(著作権法504条(c))。弁護士費用賠償請求権は、勝訴した場合に、その訴訟に要した弁護士費用を侵害者から取り立てることができる権利ですが(著作権法 505条)、米国においては、弁護士費用がすぐに億(円)の単位になるので、弁護士費用賠償請求権は実務的には極めて重要です。
第3に、米国著作権登録をしておれば、その著作権登録証明書は、日本での裁判においても著作権の保有について強い事実上の証明力が認められています。たとえば、ジョイサウンド仮処分事件・東京高決平成9年8月15日は、以下のように判示しています。
「米国著作権法においては、最初の発行から五年以内に著作権登録がなされた著作権の登録証には、
その記載事項について法律上の推定が与えられており(410条c項)、また、1989年2月までは、著作権登録は著作権侵害訴訟を提起するための要件であった(旧411条)。
1989年3月以降は、著作権登録は著作権侵害訴訟提起の要件ではなくなったが、最初の発行から3か月以内に著作権登録を経由しておれば、弁護士費用の賠償請求権が与えられる利益がある(412条)。したがって、米国においては著作権登録を速やかに行うことが慣習化しており、
また、これに関する情報は容易に入手し得るが、別紙音源目録記載の抗告人CD収録音に関する抗告人らの著作権登録に対し、現在まで異議の申立ては全くなされていない。
そして、著作権登録について虚偽の事実を申請すれば刑事罰の制裁があること(506条e項)に鑑みると、
米国著作権局発行に係る著作権登録証には、別紙音源目録記載の抗告人CD収録音につき抗告人らがレコード製作者の権利を有することについて、強い事実上の推定力があるというべきである。」
米国では、前述のとおり著作権登録には様々な効力が与えられているのみならず、 その適用範囲は広く、手続きは簡便であって、ビジネス上大いに利用されています。
日本にも著作権登録の制度がありますが、登録できる事項・登録できる場合が限られています。 1.無名・変名著作物について著作者の実名を登録すること、2.著作物の第1発行年月日を登録すること、 3.プログラム著作物について創作年月日を登録すること、4.著作権の譲渡等を登録することができる(75条〜77条)に過ぎません。 これに対して、米国では、著作物を作成したこと自体を登録することができます。したがって、すべての著作物について著作権登録を受けることができます。
(a) On-lineで申請を行う場合は、1.e-Copyright Office (https://eco.copyright.gov/eService_enu/start.swe) にログ・インし、2.必要事項を入力し、3.手数料(下記(c)参照)をクレジットカード、電子小切手または著作権局の デポジット・アカウントにて支払い、4.寄託物をアップロードまたは必要に応じて別途著作権局に郵送します。
(b) On-lineで申請できる著作物は、次のとおりです:
・言語著作物(Literary works)
・視覚芸術著作物(Visual Arts
works)
・舞台芸術著作物(Performing Arts Works)
・録音物(Sound
Recordings)
・映画著作物(Motion Pictures)
・定期刊行物の単号(Single Serial
Issues)
ただし、On-lineで申請する場合、著作物は以下のものでなければなりません。
(i) 単一の著作物;
(ii)
同一の著作者であり、同一の著作権者が保有する未発行著作物の集合体;または
(iii)
同一の著作権者が保有し、一体として発行される複数の発行著作物。
(c) 手数料は、通常65ドルです。ただし、著作者が1名、著作権者が著作者と同一、著作物が1つかつ職務著作でない登録申請手続は、1件あたり45ドル、また、特殊な登録は料金が異なります。詳しくは下記URLをご参照ください。
www.copyright.gov/docs/fees.html
(d) なお、On-line申請のメリットは次のとおりです:
・割安な登録手数料
・手続期間の短縮
・オンライン・ステータス・トラッキング・システム有り
・クレジットカード等による支払
・添付すべき著作物の電子ファイルによる納付
(a)従前の書面で申請を行う場合は、 1. 著作物の種類に対応した「申請用紙」に必要事項 (著作権法409条)を書き込み、2. 著作物の複製物(通常2部)を添付し(408条(b))、3.
手数料(通常 125ドル) の小切手を同封して、下記の著作権局に送付します。
Library of Congress
Copyright
Office
101 Independence Avenue, S.E.
Washington, D.C.
20559-6000
(b)申請用紙は、著作物の種類毎に用紙の形式が異なります。著作権局から郵送してもらうか、インターネット (www.copyright.gov/forms/)で入手できます。主な用紙の形式は次のとおりです。
・用紙TX: 非演劇的言語著作物
・用紙VA: 視覚芸術(絵画、図形および彫刻の著作物)
・用紙PA: 舞台芸術(音楽著作物、演劇著作物、ならびに無言劇および舞踊の著作物)
・用紙SE: 定期刊行物
・用紙SR: 録音物
・用紙RE: 更新登録
・用紙GATT: 権利回復著作物
・用紙CA: 登録事項の訂正補充
(c) 添付する複製物は、通常2部ですが、未発行の場合、米国外で最初に発行されたものの場合および集合著作物の寄与物の場合などには、 1部で足ります。未発行の場合を除き、発行された最良版を添付しなければなりません(著作権法408条(b))。納付された複製物は返却されません。
(d) 手数料は、通常125ドルですが、申請用紙の形式によって異なります。
www.copyright.gov/docs/fees.html
著作権登録申請に対する審査は、納付物に創作性(originality)があるかどうか、 また1976年著作権法に基づく法的および形式的要件を満たしているかどうか、の2点についてだけ判定します。 申請から通常9ヶ月以内(ただし、書面による申請の場合は通常18ヶ月以内)程度で、著作権登録証(certificate of copyright registration)が発行されます。しかし、訴訟目的、税関目的および契約上の期限履行など特別な事情のある場合には、 特別取扱を申し込めば申請から5日程度で入手することができます。特別取扱には、1件あたりプラス800ドルの手数料が必要です。
当事務所は、ご依頼により、米国著作権登録の申請手続を代行します。代行業務には、申請書の作成、手数料の納付、申請書類の提出、 著作権登録証の受領、その他米国著作権局との連絡を含みます。
著作権登録代行サービスの料金は、通常の著作権登録申請の場合、1件当たり50,000円(税別)です。ただし、多数の著作物をグループとして申請する場合、特殊な著作権登録申請の場合および多量の著作権登録申請の場合のサービス料金については、当事務所の担当事務局にお問い合わせ下さい。また、米国著作権局への手数料、送金小切手作成料、当事務所からの郵送料その他通信費その他実費については、見積書記載の費用を別途ご負担願います。
なお、著作権登録代行サービスには、著作権登録を受けるための著作権制度・登録制度についてのご質問に対する回答を含んでいません。これについては、当事務所所定の報酬規程に従った報酬を申し受けます。
下記の申込用紙にご記入の上、 e-mail(office※itlaw.jp ※をアットマークに変更して下さい)またはファクシミリ(03-5532-8901)にて、当事務所の担当事務局宛にお送り下さい。折り返し、費用の見積等をお知らせいたします。
申込用紙(Wordファイル)
申込用紙(PDFファイル)
登録申請をお引き受けしても、登録可能であると保証するものではありません。登録可能性についての見解が必要である場合には、別途法律相談をお申し込み下さい。
登録できなかった場合、費用は返金いたしません。
登録申請には、上記代行業務のみが含まれます。その他の業務はこれに関連する業務(例:再審査等)であっても含まれません。
〒105-0003
東京都港区西新橋1-2-9
日比谷セントラルビル14階
TEL 03-5532-8900
FAX 03-5532-8901